
中学3年生、一人でドゥマゲッティへ。
約2か月の海外生活で見えた、小さな変化
中学3年生、一人で海外へ
今回ご紹介するのは、中学3年生の女の子が一人でドゥマゲッティへ来て、約2か月を過ごしたケースです。
このご家族は、もともと別のサポート業者を利用されており、そこから私たちが引き継ぐ形でサポートすることになりました。
詳しい経緯までは私も把握していませんでしたが、ドゥマゲッティを選んだ理由の一つとして、
「治安も環境も安心だと聞いたから」
ということは聞いていました。
お母さんは渡航時に一緒に来られましたが、現地には2日間ほど滞在して帰国。
その後は、娘さん一人でドゥマゲッティで生活することになりました。
本人は、こちらが心配になるくらい平気だった
中学3年生で、一人で海外生活。
普通なら、こちらもいろいろと心配になります。
ところが、本人はというと、こちらが心配になるくらい、まったく平気な様子でした。
もともと無口な女の子で、本人からいろいろ話を聞くこともあまりありませんでした。
それでも、日常生活について特に大きな問題が起きることもなく、ホームシックになる様子もありませんでした。
一人で海外に来たからといって、必ずしも毎日不安でいっぱいになるわけではない。
そんなことも、このケースを通して感じました。
学校へ入学するところからサポート
学校については、私たちが入学手続きの際に同行してサポートしました。
その後は学校の送迎バスを利用して通学していたため、実際の学校生活について、私が詳しく知っているわけではありません。
ただ、一つ印象に残っていることがあります。
その学校には、珍しくビュッフェ形式のランチがありました。
あるとき、
「イタリアンがおいしい」
と笑いながら話してくれたことがあります。
普段はあまり多くを話さない子だっただけに、そのときの笑顔が印象に残っています。
2週間ほどで、学校へ行かなくなった
ところが、留学生活が始まって約2週間ほど経った頃、学校へ行くのをやめることになりました。
その理由について、私は詳しく聞いていません。
本人があまり話すタイプではなかったこともありますし、ご家庭の中にはさまざまな事情があったようでした。
そこに私が深く入り込んで聞くのは失礼だと思い、無理に聞くこともしませんでした。
海外で子どもをサポートするとき、何でも聞けばいいというものではありません。
本人が話したいことは聞く。
でも、本人が話したくないことまで無理に聞かない。
私はその距離感を大切にしていました。
その後は、現地の家庭教師に
学校へ行かなくなった後、知り合いから現地人女性の家庭教師を紹介してもらうことになりました。
そこからは、自宅で1日3時間ほどレッスンを受ける生活になりました。
学校という環境から、自宅での家庭教師という形へ。
予定していた留学生活とは少し違う形になりましたが、それでも現地で学ぶ時間は続きました。
当時は食事などの生活面についても私たちがサポートしていたため、日常生活そのものについては特に大きな問題はありませんでした。
日本の家族とも、頻繁に連絡を取っていた
お母さんは日本に帰国していましたが、今の時代はLINEなどのSNS通話を使えば、無料で頻繁に連絡を取ることができます。
そのため、親子での連絡も比較的取りやすい環境でした。
「一人で海外にいる」といっても、昔のように日本と完全に離れてしまうわけではありません。
必要なときには、画面越しに親と話すことができる。
そうした環境も、一人で海外生活をするうえでは一つの支えになっていたのだと思います。
最初は、人の顔を見て話さなかった
この子について、私が一番印象に残っていることがあります。
最初の頃は、ほとんど人の顔を見て話さなかったことです。
私たちが声をかけても、なかなか目を合わせない。
そんな様子でした。
ところが、2か月目に入った頃。
家庭教師によるレッスンが始まった頃からだったと思います。
少しずつ、挨拶をしてくれるようになりました。
たったそれだけのことです。
でも、私と妻にとっては、とても嬉しい変化でした。
「挨拶してくれるようになったね」
と、妻と喜んだことを覚えています。

妻には、最初から笑っていた
私よりも妻のほうが、その子と自然に関わっていたことも印象に残っています。
妻はフィリピン人なので、最初からフィリピンらしい明るさで、普通に声をかけていました。
そのため、私より妻のほうと笑っていることもありました。
最初はほとんど人の顔を見て話さなかった女の子が、少しずつ挨拶をするようになる。
そして、妻と笑う。
それは大きな変化ではないかもしれません。
でも、毎日そばで見ていた私たちにとっては、嬉しい出来事でした。
約2か月の予定が、突然終わることになった
もともとは、もっと長期間の滞在になる予定だったと聞いていました。
ところがある日、
「親と話して、帰国することになりました」
と伝えられました。
突然のことでした。
そのため、最後は帰国するためのサポートも私たちがお手伝いしました。
海外留学では、最初に決めた予定どおりに最後まで進むとは限りません。
現地で生活してみて、本人や家族が考えることもあります。
予定が変わることもあります。
そんなときに、その状況に合わせて対応できる人が現地にいることも、海外生活では大切なのだと思います。
「一人で海外へ行く」という経験
このケースでは、学校生活について私が詳しく見届けたわけではありません。
また、本人も多くを語るタイプではありませんでした。
だからこそ、私は無理に「この留学でこんなに成長しました」とまとめるつもりはありません。
ただ、約2か月の生活の中で、最初にはなかった小さな変化を見ることはできました。
人の顔を見て話さなかった女の子が、少しずつ挨拶をするようになった。
妻と笑うようになった。
そして、最後には自分の意思ではなくても、家族と話し合った結果を伝えてくれた。
大きな変化ではないかもしれません。
でも、現地で毎日接していた私たちには、その小さな変化が印象に残っています。
DEECから見た、このケース
中学生を一人で海外へ送り出す。
親御さんにとっては、きっと簡単な決断ではないと思います。
一方で、子どもが一人で海外で生活することで、親がすべてをそばで支えることのできない環境に身を置くことにもなります。
その中で、自分で生活する。
人と関わる。
困ったときには誰かに相談する。
そうした経験を重ねることになります。
今回の女の子について、私は「大きく変わった」とまでは言えません。
ただ、最初はほとんど人の顔を見て話さなかった子が、2か月目には挨拶をしてくれるようになった。
妻と笑って話す姿も見られるようになった。
私にとっては、それだけでも十分に印象に残る経験でした。
海外生活では、小さな変化が積み重なっていく
海外留学というと、
「英語がどれだけ上達したか」
「学校でどんな勉強をしたか」
という結果に目が向きがちです。
でも、実際に海外で生活してみると、変化はもっと小さなところに現れることがあります。
挨拶をする。
誰かと笑う。
自分のことを少し話す。
そして、困ったときには誰かに頼る。
今回の約2か月の留学で、私が覚えているのは、そうした小さな出来事でした。
中学3年生、一人でドゥマゲッティへ。
予定どおりにいかなかったこともありました。
学校から家庭教師へと学ぶ環境も変わりました。
そして、予定より早く帰国することにもなりました。
それでも、その約2か月を現地で過ごしたという経験そのものが、この子にとって一つの時間になったのではないかと思います。
