海外の学校へ子どもを通わせるとき、保護者が気になることの一つが「授業が分からなかったとき、子どもはどうするのだろう?」ということです。
日本の学校なら、分からないことがあれば先生に聞ける子でも、海外では簡単に質問できないことがあります。
英語でどう聞けばいいのか分からない。
先生の説明を聞き取れない。
間違った英語を使うのが恥ずかしい。
周りの子どもたちの前で質問するのが怖い。
こうした気持ちは、海外で学び始めた子どもにとって自然なものです。
だからこそ、親子留学では「分からないことをなくす」だけではなく、「分からないときにどう伝えるか」を経験することも大切になります。
「分からない」と言えることは、学ぶための力
学校では、すべてを一度で理解できるわけではありません。
先生の説明が分からない。
問題の意味が分からない。
宿題のやり方が分からない。
友達が何を言っているのか分からない。
こうした場面は誰にでもあります。
大切なのは、分からないこと自体ではありません。
「分からない」と気づいた後に、どうするかです。
先生に聞く。
もう一度説明してもらう。
友達に確認する。
教科書を読み直す。
自分で調べてみる。
こうした行動につながれば、「分からない」は次の学びの入口になります。
英語ができても、質問できるとは限らない
親子留学では「英語が話せれば質問できる」と考えがちです。
もちろん、英語でコミュニケーションを取る力は大切です。
ただ、質問することには英語力以外の部分も関係しています。
「今、分からない」
「ここを確認したい」
「もう一度聞きたい」
と自分で判断する必要があるからです。
英語をある程度話せる子でも、遠慮して質問しないことがあります。
反対に、英語がまだ十分に話せなくても、身振りや簡単な言葉を使って先生に助けを求める子もいます。
その意味では、「質問できる力」と「英語力」は同じものではありません。
「間違ったら恥ずかしい」が質問を止めることもある
子どもが質問できない理由として、もう一つ考えたいのが「間違えることへの不安」です。
英語の発音が違っていたらどうしよう。
変な言い方をしたら笑われるかもしれない。
先生に「そんなことも分からないの?」と思われないかな。
友達の前で恥ずかしい思いをしたくない。
こうした気持ちがあると、分からないまま黙ってしまうことがあります。
特に海外の学校では、言葉そのものが日本語ではありません。
そのため、日本にいるときよりも「質問する」という行動に大きな勇気が必要になる場合があります。
最初から上手に質問できなくてもいい
親としては、「分からなかったら先生に聞けばいいよ」と言いたくなります。
でも、子どもからすると、それが簡単ではないこともあります。
だから、最初から完璧な質問を求める必要はありません。
先生のところまで行けた。
分からない問題を指差せた。
「Again?」など簡単な言葉で聞いてみた。
友達に確認してみた。
こうした小さな行動も、「分からない」を伝える練習です。
最初は一言だけだったものが、少しずつ文章になっていくこともあります。
フィリピンの英語教育でも「質問する力」は学びの一部
フィリピン教育省(DepEd)のGrade 5 Englishのカリキュラムには、「提示された情報について理解を確認するために質問する」「意見や考えに応答する」「話し合いを続けるための適切な方法を使う」といったコミュニケーションに関する学習内容が含まれています。
つまり、質問することは単なる「英語を話す練習」ではなく、学校で学ぶためのコミュニケーションの一部でもあります。
親子留学で海外の学校に入る場合も、子どもが「分からないときにどう伝えるか」を経験することには意味があります。
親が先に全部聞いてしまわない
子どもが学校で困っていると、親はすぐに助けたくなります。
「先生に聞いてあげようか?」
「私から学校に確認するよ」
と動くこともあるでしょう。
もちろん、親が対応したほうがいい場面もあります。
特に安全や健康、学校との重要な連絡などは、親が責任を持って確認する必要があります。
一方で、子ども自身が聞けそうな小さなことまで、毎回親が先に解決してしまう必要はありません。
「先生に聞いてみる?」
「どこが分からない?」
「どう伝えたら分かってもらえそう?」
と一度子どもに考えてもらうこともできます。
子どもが自分で先生に聞いたり、もう一度考えたりする経験は、海外の学校生活の中で少しずつ育っていきます。
海外の学校で、子どもが先生に質問したり、困っていることを伝えたりして助けを求める力については、こちらの記事も参考にしてください。
👉 海外の学校で「先生にお願いする」ことはできる?|子どもが助けを求める力
親子留学では、質問することだけでなく、人前で自分の考えを伝える経験もあります。
海外の学校で、子どもが少しずつ自分の考えや意見を伝えられるようになる過程については、こちらの記事も参考にしてください。
👉 海外の学校で子どもが自分の意見を言うまで|小さな発言から始まる変化
海外の学校で発表する機会について知りたい方は、こちらの記事も参考にしてください。
「海外の学校で「発表する」ことは多い?|子どもが人前で話す経験」 も参考にしてください。

「質問しなさい」より「どう聞く?」と考える
「分からなかったら質問しなさい」と言われても、子どもには難しい場合があります。
そこで、家庭で具体的な場面を想像してみるのも一つの方法です。
授業の説明が聞き取れなかったら?
宿題の意味が分からなかったら?
問題の答え方が分からなかったら?
友達の話が聞き取れなかったら?
先生にもう一度説明してほしかったら?
こうした場面について親子で話しておくと、実際に困ったときの選択肢を持ちやすくなります。
質問できるようになるまでには時間がかかる
海外の学校に行った初日から、子どもが積極的に質問できるとは限りません。
最初は先生の話を聞くだけで精一杯かもしれません。
次に、分からないところを自分で見つけられるようになる。
その後、先生のところへ行けるようになる。
さらに、自分の言葉で質問できるようになる。
このように、段階を踏んで変わっていくことがあります。
だからこそ、親は「今日は質問できたか」だけで判断するのではなく、その前の小さな変化にも目を向けたいところです。
「助けを求めること」も自立の一つ
自立というと、「一人で何でもできること」を想像するかもしれません。
しかし、海外生活では、分からないときに適切な人へ助けを求めることも大切な力です。
自分だけで抱え込まない。
困ったことを言葉にする。
必要な人に相談する。
助けてもらったら、もう一度自分でやってみる。
これは、学校生活だけでなく、将来さまざまな環境で生活するときにも役立つ経験です。
親子留学では「英語が話せたか」だけを見ない
親子留学をすると、どうしても子どもの英語力に目が向きます。
今日は何を話したのか。
英語で友達と会話できたのか。
先生の話を理解できたのか。
もちろん、それも大切です。
でも、同じくらい見てほしいのが、
「分からないことをどうしたか」
という部分です。
先生に聞いた。
友達に確認した。
もう一度説明してもらった。
自分で調べた。
それでも分からなかったので、親に相談した。
こうした経験の積み重ねも、海外で学ぶ大切な経験です。
「分からない」を言える子どもへ
親子留学では、子どもがすべてを一人で解決する必要はありません。
困ったときには親が支える。
学校にも相談する。
先生にも助けてもらう。
友達にも聞いてみる。
その中で、少しずつ「自分から伝える」経験を増やしていく。
それで十分です。
海外の学校で質問できるようになることは、単に英語のフレーズを覚えることではありません。
「分からない」と自分で気づく。
「助けてほしい」と伝える。
相手の説明を聞く。
もう一度やってみる。
この流れを経験することそのものに価値があります。
DEECが大切にしている「選択肢教育」も、子どもに一つの正解を押しつけることではありません。
分からないときには、質問する。
困ったときには、助けを求める。
うまくいかなければ、別の方法を試す。
そうした経験を重ねながら、自分で次の行動を選べるようになること。
海外の学校での小さな「質問」も、そんな力を育てる一歩になるのかもしれません。
海外の学校で「分からない」と伝え、助けを求め、もう一度自分でやってみる。
そうした小さな経験の積み重ねが、帰国後の子どもの考え方や行動にもつながっていくのかもしれません。
親子留学の本当の価値は帰国後にある?|子どもの視野と選択肢が広がる理由 も、ぜひ参考にしてください。
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