フィリピンで親子留学を考えている保護者の方から、
「英語をたくさん使うようになったら、日本語を忘れませんか?」
という心配を聞くことがあります。
特に小さな子どもを連れて海外へ行く場合、
「英語を身につけてほしい」
という気持ちがある一方で、
「日本語もしっかり話せるようにしておきたい」
という気持ちもあるでしょう。
これは、とても自然な心配です。
結論から言えば、フィリピンで生活したからといって、子どもが必ず日本語を忘れるわけではありません。
ただし、海外で生活すると、当然ながら日本にいるときとは言語環境が変わります。
学校では英語。
友達との会話も英語。
買い物や外出でも英語。
一方、家庭では日本語。
このように、使う言葉が場面によって変わる生活になる可能性があります。
そのため、親子留学を考えるときには、
「日本語を忘れるか?」
だけではなく、
「日本語と英語をそれぞれ、どんな場面で使う生活になるのか?」
と考えるほうが分かりやすくなります。
- 海外で英語を使う時間が増えるのは自然なこと
- 「日本語を忘れる」と「英語を使うようになる」は同じではない
- 文部科学省も海外で学ぶ日本の子どもの教育を支援している
- 国際交流基金も海外の子どもの日本語教育を支援している
- 日本語を維持するために、家庭でできること
- 「日本語の勉強」を毎日やらなければいけないわけではない
- 日本語で親子の会話をすることには大きな意味がある
- 日本の家族との電話も日本語を使う機会になる
- 日本の本を持っていくのもおすすめ
- 読む・書くは「話す」と少し別に考える
- 短期留学と長期留学では考え方が違う
- 帰国後のことも考えておく
- 親子留学は「英語だけ」にする必要はない
- 子どもが英語を話し始めても、無理に日本語を止めない
- 言葉は「使う相手」がいることで続きやすい
- 親ができるのは「日本語を使える環境を残すこと」
- 親子留学で大切なのは「どちらかを捨てる」ことではない
- まとめ|親子留学は日本語を捨てることではない
海外で英語を使う時間が増えるのは自然なこと
フィリピンの学校へ通えば、授業や学校生活の中で英語を使う機会が増えます。
先生と英語で話す。
授業を英語で聞く。
友達と英語で話す。
分からないことを英語で質問する。
こうした経験を毎日繰り返せば、子どもにとって英語が「勉強するもの」から「実際に使うもの」へ変わっていく可能性があります。
これは親子留学の大きな意味の一つです。
ただ、その一方で、
「英語を使う時間が増えたから、日本語を使う時間が減る」
ということもあります。
ここを必要以上に怖がる必要はありません。
むしろ、
英語を使う環境にいるからこそ、日本語を使う場所を家庭の中に残しておく
という考え方が大切です。
「日本語を忘れる」と「英語を使うようになる」は同じではない
例えば、フィリピンに滞在している子どもが、学校から帰ってきて、
「今日は先生がこう言ってたよ」
「友達とこんなことした」
と英語の単語を交えながら話すようになることがあります。
親からすると、
「英語が増えた」
と感じるでしょう。
でも、それは必ずしも、
「日本語を忘れている」
ということではありません。
新しい言語を使う環境に入ったことで、英語を使う場面が増えているだけかもしれません。
子どもの言葉は、生活環境によって変化します。
学校では英語。
家庭では日本語。
友達とは英語。
日本の祖父母とは日本語。
というように、相手や場所によって言葉を使い分けることもあります。
文部科学省も海外で学ぶ日本の子どもの教育を支援している
海外で生活する日本の子どもの教育については、日本の公的機関も長年取り組んでいます。
文部科学省の「在外教育情報」では、海外で暮らす日本人の子どもたちについて、教育を受ける機会を保障することが重要だと説明されています。
これは、海外へ行った子どもが日本とのつながりを失ってしまうことを前提にしているわけではありません。
海外に住みながらも、日本とのつながりを保ち、子どもの教育を継続していくことが重要だという考え方です。
つまり、
海外で学ぶことと、日本とのつながりを保つことは両立できる
という視点を持っておくことが大切です。
国際交流基金も海外の子どもの日本語教育を支援している
国際交流基金も、海外に在留する邦人の子どもなどに対する日本語教育について取り組んでいます。
国際交流基金の公式情報では、「海外に在留する邦人の子、海外に移住した邦人の子孫等に対する日本語教育」の充実について、日本語教育の推進に関する法律にも触れながら、各国・地域での支援活動を紹介しています。
また、「日本につながる子どものための日本語教育」という考え方も紹介されています。
これは、海外で育つ子どもにとって、
「日本語をどう維持するか」
が一つの教育テーマになっていることを示しています。
親子留学を考える家庭にとっても、参考になる考え方です。
日本語を維持するために、家庭でできること
では、実際にフィリピンで生活する場合、家庭では何をすればいいのでしょうか。
特別な教材を大量に用意する必要はありません。
まず大切なのは、
家庭の中に日本語を使う時間を残すこと
です。
例えば、
・家では基本的に日本語で話す
・日本の本を読む
・日本の家族と電話する
・日本語の絵本を読む
・日本のニュースや番組を見る
・日記を書く
・日本語で今日あったことを話す
などです。
これらは特別な「日本語教育」にしなくても構いません。
普段の生活の中で日本語を使えばいいのです。
「日本語の勉強」を毎日やらなければいけないわけではない
海外へ行くと、
「日本語も維持しないといけないから、毎日日本語の勉強をさせよう」
と考える方もいるでしょう。
もちろん、日本語の読み書きを維持するために学習することには意味があります。
ただ、親子留学の期間中まで毎日たくさんの勉強を詰め込む必要があるとは限りません。
特に短期留学なら、
学校では英語を経験する。
家庭では日本語で話す。
日本語の本を読む。
日本の家族と話す。
という程度でも十分意味があります。
大切なのは、
日本語を「勉強しなければならないもの」だけにしないこと
です。

日本語で親子の会話をすることには大きな意味がある
親子留学では、子どもだけでなく親も海外生活を経験します。
学校でどんなことがあったのか。
先生はどんな人だったのか。
友達と何をしたのか。
楽しかったことは何だったのか。
困ったことは何だったのか。
こうした話を日本語で親子で話すだけでも、日本語を使う機会になります。
例えば夕食のときに、
「今日は学校どうだった?」
と聞くだけでもいいでしょう。
子どもが、
「今日は○○をやった」
と話したら、
「それはどういう意味?」
「先生は何て言ってた?」
と話を広げていく。
海外生活そのものを、日本語で振り返る時間にすることができます。
日本の家族との電話も日本語を使う機会になる
フィリピンで生活すると、日本にいる祖父母や親戚と離れて暮らすことになります。
そこで、
「今日はこんなことがあったよ」
と日本の家族に電話する時間を作るのも一つの方法です。
子どもにとっては、
海外では英語を使う。
日本の家族とは日本語を使う。
という自然な使い分けになります。
特に祖父母など、普段から日本語で話している相手との会話は、子どもにとって日本語を使う大切な時間になります。
日本の本を持っていくのもおすすめ
海外生活で意外と役立つのが日本語の本です。
子どもが好きな絵本。
漫画。
児童書。
図鑑。
小説。
年齢に合った読み物をいくつか持っていけば、自然に日本語を読む時間を作れます。
電子書籍を利用する方法もあります。
大切なのは、
「日本語の教材を何冊やらせるか」
ではなく、
子どもが日本語に触れる機会を途切れさせないこと
です。
読む・書くは「話す」と少し別に考える
日本語について考えるときには、
「話せる」
だけではなく、
「読める」
「書ける」
という部分もあります。
海外生活では、学校で英語を使う時間が増えるため、日本語を「話す」ことよりも、むしろ日本語の読み書きについて意識する家庭もあるでしょう。
特に日本の学校へ戻る予定がある場合は、
・漢字
・作文
・読解
など、学校の学習との関係も考えておいたほうがいい場合があります。
ここは子どもの年齢や、日本へ帰国する時期によっても変わります。
短期留学と長期留学では考え方が違う
親子留学の期間によっても、日本語についての考え方は変わります。
例えば数週間の短期留学であれば、
「英語を使う環境を経験する」
という意味合いが大きくなります。
家庭では普通に日本語を使い、日本の家族とも連絡を取る。
それだけでも十分でしょう。
一方、半年や1年など長期間の海外生活になると、
日本語の読み書き。
日本の学校との学習のつながり。
帰国後の学校生活。
日本語を使う機会。
などを、もう少し計画的に考える必要が出てきます。
つまり、
「親子留学だから日本語対策が必要」ではなく、滞在期間と子どもの年齢によって考える
ことが大切です。
帰国後のことも考えておく
親子留学をするなら、
「フィリピンにいる間」
だけでなく、
「日本へ戻った後」
についても少し考えておきましょう。
例えば、
「帰国後は日本の学校へ戻る」
のであれば、現在の学年で必要な日本語の読み書きなどを確認しておくと安心です。
一方、
「フィリピンで長期的に教育を続ける」
のであれば、英語環境の中で日本語をどう維持していくかを別に考える必要があります。
さらに、
「将来的には日本とフィリピンのどちらで暮らすか分からない」
という家庭もあるでしょう。
その場合は、今の段階で一つの答えを決める必要はありません。
その時々で選択肢を残せるように、
日本語も英語も完全に切り離さない。
という考え方があります。
親子留学は「英語だけ」にする必要はない
親子留学というと、
「せっかくフィリピンへ行くのだから、家でも英語を使わせよう」
と考える方もいます。
もちろん、家庭でも英語を使うことはできます。
ただ、親子留学の目的が「日本語を捨てて英語だけにすること」である必要はありません。
学校で英語を使う。
外で英語を使う。
友達と英語で話す。
そして家では日本語で安心して話す。
こうした環境でも、十分に海外生活を経験できます。
むしろ子どもにとっては、
「英語の世界」と「日本語の世界」の両方を経験できる
ことに意味があります。
子どもが英語を話し始めても、無理に日本語を止めない
フィリピンで生活していると、子どもが英語の言葉を覚えてきます。
最初は、
「Hello」
程度だったものが、
学校で使った言葉。
先生から聞いた言葉。
友達との会話。
などを少しずつ覚えていくでしょう。
そして、家でも英語の単語が出てくることがあります。
そのとき、
「家では日本語だけ!」
と強く否定する必要はありません。
子どもが、
「今日 teacher が……」
と話したら、
「先生がどうしたの?」
と日本語で返してあげる。
英語を使ったことを叱るのではなく、
親子の会話そのものを続ける
ことを優先してもいいでしょう。
言葉は「使う相手」がいることで続きやすい
日本語を維持するうえで考えたいのは、
「日本語を勉強させる」
だけではありません。
「日本語を使う相手がいる」
ことも大切です。
お父さん。
お母さん。
祖父母。
日本の友達。
日本の学校の先生。
こうした人とのつながりがあれば、日本語を使う場面が自然に生まれます。
その意味では、海外にいるから日本語がなくなるのではなく、
日本語を使う機会が少なくなれば、日本語を使う量も自然に減る
と考えたほうが分かりやすいでしょう。
親ができるのは「日本語を使える環境を残すこと」
子どもの言語能力は、親がすべてコントロールできるものではありません。
子どもの性格もあります。
年齢もあります。
滞在期間もあります。
学校環境もあります。
友達との関係もあります。
そのため、
「こうすれば絶対に日本語を忘れない」
という方法があるわけではありません。
親ができることは、
日本語で話せる。
日本語で本を読める。
日本の家族と話せる。
日本語を書く機会がある。
という環境を残しておくことです。
それだけでも、日本語とのつながりを保つ助けになります。
親子留学で大切なのは「どちらかを捨てる」ことではない
英語を身につけるためには日本語を犠牲にしなければならない。
そんなふうに考える必要はありません。
英語を学ぶことと、日本語を大切にすることは、必ずしも対立するものではありません。
学校では英語。
家庭では日本語。
海外の友達とは英語。
日本の家族とは日本語。
このように、それぞれの言葉を使う場所を作っていくことができます。
親子留学は、
「日本語か英語か」
の二択ではなく、
「両方の言葉とどう付き合っていくか」
を考える機会にもなります。
まとめ|親子留学は日本語を捨てることではない
フィリピン親子留学を考えるとき、
「英語を学ばせたいけれど、日本語を忘れたらどうしよう」
と心配になるのは自然なことです。
ただ、海外で生活することと、日本語を忘れることは同じではありません。
大切なのは、
・家庭で日本語を使う
・日本の家族と話す
・日本語の本を読む
・必要に応じて日本語を書く
・帰国後の学習も考えておく
など、子どもが日本語を使える環境を残しておくことです。
特に短期の親子留学なら、学校では英語、家庭では日本語という生活でも十分に海外経験を積むことができます。
一方、長期滞在を考えている場合は、日本語の読み書きや帰国後の学校生活なども含めて、もう少し計画的に考えておくと安心です。
文部科学省や国際交流基金が海外で学ぶ日本の子どもたちの教育や日本語教育を支援していることからも、海外で学びながら日本とのつながりを保つことは、決して特別な考え方ではありません。
そして親子留学で一番大切なのは、
「英語を話せるようにするために、日本語をなくす」
ことではありません。
日本語も英語も、それぞれの場面で使える環境を作っていくこと。
その中で、子ども自身が少しずつ新しい世界を広げていけばいいのだと思います。
親子留学は、単に英語を勉強するためだけの時間ではありません。
日本とは違う環境で生活し、
新しい人と出会い、
違う言葉を使い、
自分の世界を広げる経験です。
その中で日本語も大切にしていく。
それも、親子留学の一つの形です。
「うちの子の場合は、どのくらいの期間なら大丈夫?」
「日本の学校との勉強はどうすればいい?」
「フィリピンで長期的に生活する場合、日本語をどう維持すればいい?」
など、家庭によって考えることは違います。
まずは「日本語を忘れるかどうか」だけで判断するのではなく、
どんな言語環境で、どんな経験を子どもにさせたいのか
を考えてみてください。
フィリピンで生活すると、学校や友達との会話、買い物や外出など、日常のさまざまな場面で英語を使う機会が増えます。
一方で、家庭では日本語を使うなど、日本にいるときとは違った言語環境の中で生活することになります。
こうした環境の変化そのものが、子どもにとって日本とは違う世界を知る経験にもなっていきます。
親子留学を考えるときは、英語と日本語をどのように使い分けるかだけでなく、海外で過ごすことで子どものものの見方や考え方にどんな変化が生まれるのかにも目を向けてみたいところです。
そして、その経験は帰国後の生活の中でも、子どもの視野や考え方、これからの選択肢につながっていく可能性があります。
親子留学の価値を帰国後まで含めて考えたい方は、
「親子留学の本当の価値は帰国後にある?|子どもの視野と選択肢が広がる理由」 も参考にしてください。
さらには、英語や日本語の学習だけでなく、学校・住まい・現地での生活まで含めて親子留学を考えると、ご家庭に合った留学の形がより見えやすくなります。
「ドゥマゲッティ親子留学完全ガイド|学校・住まい・生活まで最初に知っておきたいこと」 も参考にしてください。
👉 ドゥマゲッティ親子留学で子どもが学べること|英語だけではない海外生活の経験
【参考・公的機関情報】以下
文部科学省|在外教育情報
海外で学ぶ日本の子どもたちへの教育機会について、文部科学省が案内しています。
国際交流基金|海外に在留する邦人の子等に対する日本語教育
海外に暮らす日本につながる子どもへの日本語教育について、国際交流基金の取り組みが紹介されています。
国際交流基金|日本語教育 国・地域別情報
世界204か国・地域の日本語教育に関する情報をまとめています。
文部科学省「在外教育情報」
国際交流基金「海外に在留する邦人の子等に対する日本語教育」
国際交流基金「日本語教育 国・地域別情報」
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