- フィリピン親子留学の経験は大学入試で活かせるのか?
- 大学の「帰国生入試」は、海外経験だけで決まるわけではない
- 実例① 上智大学の帰国生入試
- 実例② 早稲田大学では「海外就学経験者」を評価する入試もある
- ここで大切なのが「英語力だけにしない」こと
- 「親子留学に行った」だけでは、大学入試の材料にならない
- 総合型選抜というもう一つの可能性
- 実例③ ICUは「海外経験をどう活かすか」を見る
- 高校時代から「経験を言葉にする」練習をしておく
- 英語資格は「目的」ではなく「選択肢」
- 親子留学が短期でも、意味がなくなるわけではない
- 「大学に入るために留学する」という順番にしない
- 帰国後の「選択肢」を狭めないことが大切
- 親が高校時代から確認しておきたいこと
- 親子留学から大学進学へ
- まとめ
- よくある質問
- 「親子留学=帰国生入試で有利」にはしない。
フィリピン親子留学の経験は大学入試で活かせるのか?
中学生や高校生の子どもを連れてフィリピンへ親子留学をすると、保護者として気になることの一つが「この経験は将来の大学進学に活かせるのだろうか」ということではないでしょうか。
英語を学んだ。
海外の学校に通った。
外国人の友達ができた。
日本とは違う文化の中で生活した。
こうした経験は、子どもにとって大きな意味を持つ可能性があります。
ただし、大学入試という視点では、ここで一度冷静に考える必要があります。
「海外経験がある」ということと、「大学の帰国生入試に出願できる」ということは、同じではありません。
大学によっては、海外の中学校・高校に2年以上在籍していることなど、かなり明確な条件が設定されています。
そのため、親子留学をしたから自動的に「帰国生」になれるわけではありません。
むしろ大切なのは、親子留学で得た経験を、その後の学校生活や学びの中でどう育てていくかです。
大学の「帰国生入試」は、海外経験だけで決まるわけではない
大学の帰国生入試を調べていくと、学校によって出願資格が大きく違うことが分かります。
例えば上智大学では、2027年度の海外就学経験者(帰国生)入学試験について、日本国籍などの条件に加えて、外国の教育制度による中・高等学校相当の課程に一定期間在籍していることを出願条件としています。
具体的には、中・高等学校6年間の中で2年以上継続して在籍する場合や、高校最終学年を含めて通算2年以上在籍する場合などが示されています。
そして選考は、単純に英語力だけを見るものではありません。
学科試問、面接、書類審査を総合して合否を判断するとされています。
つまり、
「海外に行ったことがある」
「英語が話せる」
だけではなく、
「海外で何を学んだのか」
「どのような考え方を身につけたのか」
「大学で何を学びたいのか」
というところまで問われる入試があるということです。
実例① 上智大学の帰国生入試
上智大学の2027年度海外就学経験者(帰国生)入学試験では、国際教養学部を除く全学部・学科で募集が行われ、各学科とも募集人員は若干名です。
選考は、学科試問、面接、書類審査によって総合的に行われます。
また、出願資格として外国の教育制度による中・高等学校相当課程への一定期間の在籍が求められています。
ここから分かるのは、大学の帰国生入試では「海外に行った経験」そのものよりも、「海外の教育制度の中でどのように学んできたか」が重要になる場合があるということです。
親子留学が数週間から数か月程度の場合、こうした帰国生入試の出願資格を満たさない可能性があります。
ですから、親子留学を検討する段階で「帰国生入試に使える」と考えるのではなく、実際に受験する大学の募集要項をその都度確認することが重要です。
実例② 早稲田大学では「海外就学経験者」を評価する入試もある
早稲田大学政治経済学部には、2027年度の「グローバル(海外就学経験者)入学試験」があります。
この入試では、書類、英語能力、筆記試験、面接によって選考されます。
しかも、単純に英語力を競う入試ではありません。
大学公式の説明では、一般的な入試では測りにくい一人ひとりの資質、個性、経験、熱意などを評価するとされています。
さらに、これまでにどのような努力をして、何を経験として学び、その経験を大学でどのように活かし、将来につなげるのかという部分まで問われます。
2026年度入試では、募集人員約30名に対して志願者211名、合格者48名、実質倍率4.4倍でした。
つまり、「海外経験があるから入りやすい」という考え方は危険です。
海外経験を持つ受験生の中で、何を学び、何を考え、大学で何をしたいのかを説明できる力が必要になります。
ここで大切なのが「英語力だけにしない」こと
親子留学をすると、どうしても英語力に目が向きます。
英検を取る。
TOEFLやIELTSを受ける。
英会話ができるようになる。
もちろん、これらは将来の選択肢になる可能性があります。
しかし、大学進学という視点では、英語だけで海外経験を説明するのは少しもったいありません。
例えば、
「フィリピンの学校で日本とは違う授業を受けた」
「日本では当たり前だと思っていたことが、海外では違っていた」
「外国人の友達と話す中で、自分から伝えなければ何も伝わらないと感じた」
「失敗しても行動することが大切だと分かった」
「日本の学校に戻ってから、以前とは違う視点で学校を見るようになった」
こうした経験も、子どもの学びになります。
そして大学の総合型選抜などを考える場合には、「何を経験したか」だけではなく、「その経験から何を考え、その後どう行動したか」が重要になってきます。
「親子留学に行った」だけでは、大学入試の材料にならない
ここは保護者の方に、ぜひ注意していただきたいところです。
例えば、
「フィリピンに1か月行きました」
「英語を勉強しました」
「外国人の友達ができました」
というだけでは、大学入試で強い材料になるとは限りません。
なぜなら、大学側から見れば、
「その経験から何を学んだのですか?」
という次の質問が出てくるからです。
さらに、
「その経験を高校生活でどう活かしましたか?」
「何か新しいことを始めましたか?」
「大学で何を学びたいのですか?」
「将来どのようなことをしたいのですか?」
と続いていく可能性があります。
だからこそ、親子留学の価値は「留学期間中」だけで終わらせないことが大切です。
総合型選抜というもう一つの可能性
大学進学を考えるとき、帰国生入試だけを見る必要はありません。
もう一つ考えたいのが、総合型選抜です。
総合型選抜では大学・学部によって選考方法が異なりますが、書類、志望理由、活動実績、小論文、面接などを通して、受験生の考え方や大学との適合性を見るケースがあります。
そのため、海外経験を「一つの経験」として、その後の高校生活につなげていくことが重要になります。
例えば、フィリピンで環境問題に興味を持った子どもが、日本に帰ってから環境について調べるようになる。
現地の教育環境に興味を持った子どもが、日本とフィリピンの教育の違いを調べる。
外国人とのコミュニケーションに興味を持った子どもが、学校で国際交流活動を始める。
英語をもっと学びたいと思い、英語資格の取得に挑戦する。
このように「海外経験→興味→行動→学び」という流れが生まれると、留学経験が単なる思い出ではなくなっていきます。
そして大切なのは、こうした経験を帰国後の学校生活や、その後の学びにどうつなげていくかです。
フィリピン留学後、日本の学校に戻る子どもへ|経験をこれからの学びにつなげる方法
実例③ ICUは「海外経験をどう活かすか」を見る
国際基督教大学(ICU)の2027年度「総合型選抜〈4月入学〉外国教育制度利用(帰国生)」も、参考になる制度です。
ICUでは、海外経験をリベラルアーツで活かし、主体的に学ぶことができる学生を求めています。
英語についてはIELTS、TOEFL、Cambridge English Qualificationsなどのスコアを利用します。
一方で、日本語による書類選考と面接では、深い洞察力や批判的・論理的な分析力も評価するとしています。
つまり、
「英語ができる」
だけではありません。
海外で得た経験を、自分自身の考えとして整理し、それを日本語で説明できることも重要になります。
これは、親子留学を大学進学につなげるうえで、とても参考になる考え方です。

高校時代から「経験を言葉にする」練習をしておく
大学進学を将来の選択肢として考えるのであれば、親子留学から帰国した後に、子どもが経験を言葉にできるようにしておくことをおすすめします。
例えば、
「フィリピンで一番驚いたことは?」
「日本と違うと思ったことは?」
「最初は困ったけれど、自分でできるようになったことは?」
「フィリピンに行く前と帰国後で、自分は何が変わったと思う?」
「もう一度海外へ行くなら、何をしたい?」
といった質問です。
親が答えを作ってあげる必要はありません。
むしろ、子ども自身の言葉を残していくことが大切です。
高校生になってから、その経験が大学で学びたいことにつながることもあります。
英語資格は「目的」ではなく「選択肢」
大学進学を考えると、英語資格も気になってきます。
実際、早稲田大学政治経済学部のグローバル入試では、TOEFLまたはIELTSのスコアによって英語能力を審査しています。
一方で、大学によって必要な資格やスコア、提出時期、利用方法は異なります。
そのため、
「とにかく英検を取らせる」
「とにかくIELTSを受けさせる」
という考え方ではなく、
「将来どの大学・学部を選ぶ可能性があるのか」
を見ながら準備していく方が現実的です。
高校1年生と高校3年生では、必要な準備も変わります。
親子留学が短期でも、意味がなくなるわけではない
ここまで読むと、
「うちは短期の親子留学だから、大学進学には関係ないのでは?」
と思う方もいるかもしれません。
しかし、そうではありません。
短期留学の場合、大学の「帰国生入試」の出願資格を満たさないことは十分に考えられます。
それでも、海外で経験したことが、その後の学習や興味につながれば意味があります。
例えば、
海外経験をきっかけに英語を続ける。
国際関係に興味を持つ。
教育について考える。
海外の文化をもっと調べる。
外国人との交流に積極的になる。
将来海外で働くことを考える。
こうした変化が生まれれば、親子留学は子どもの進路を考えるきっかけになります。
「大学に入るために留学する」という順番にしない
ここはDEECとして、とても大切にしたい部分です。
親子留学を、
「大学入試で有利になるため」
だけの手段にしてしまうと、子どもへの負担が大きくなります。
本来、海外経験はもっと自由なものです。
海外に行って、驚く。
失敗する。
人と出会う。
日本との違いに気づく。
自分で考える。
帰国して、もう一度日本を見る。
そこから興味が生まれる。
その興味を高校生活で育てる。
そして大学でさらに深く学ぶ。
この流れの中に、大学進学があると考えた方が自然です。
帰国後の「選択肢」を狭めないことが大切
大学進学を考える場合も、最初から「帰国生入試に行く」と決める必要はありません。
一般選抜。
総合型選抜。
学校推薦型選抜。
帰国生を対象とした選抜。
海外大学への進学。
英語で学べる大学・学部。
大学以外の専門分野。
さまざまな道があります。
大学によって制度は大きく異なり、入試制度そのものも毎年変更されます。
実際、慶應義塾大学では2026・2027年度以降の入試変更として、総合政策学部・環境情報学部の帰国生対象入学試験の募集停止を公表しています。
「去年あったから今年もある」とは限りません。
だからこそ、進学時期が近づいたら、必ず志望大学の最新の募集要項を確認する必要があります。
親が高校時代から確認しておきたいこと
大学進学を少しでも考えているなら、親子留学から帰国した後、次のようなものを記録しておくと役立ちます。
・海外で通った学校名と在籍期間
・学年や学習内容
・成績や修了証明
・英語資格と取得年月日
・海外で取り組んだ活動
・印象に残った出来事
・帰国後に興味を持ったこと
・高校で取り組んだ活動
・部活動や学校外の活動
・大学で学びたいと思ったきっかけ
特に海外の学校に一定期間在籍した場合は、後から証明書が必要になることがあります。
「いつ、どこで、どのくらい学んだのか」を整理しておくことは、将来の進路選択に役立ちます。
親子留学から大学進学へ
親子留学の価値を、大学入試の「点数」に変えようとしすぎる必要はありません。
むしろ、
海外を知ったことで、日本を違う角度から見られるようになった。
英語をもっと学びたくなった。
外国の文化に興味を持った。
自分から人に話しかけられるようになった。
将来、海外と関わる仕事をしてみたいと思った。
そんな小さな変化を大切にしていくことが重要です。
その経験が高校生活の中で育ち、大学で学びたいテーマになれば、それは親子留学が将来につながった一つの形と言えるでしょう。
DEECが大切にしている「選択肢教育」も、まさにそこにあります。
留学先を決めることだけではありません。
帰国した後に、子どもが「自分にはこんな道もある」と思えること。
大学へ進む道も、海外へ進む道も、別の専門分野へ進む道もある。
親が最初から答えを決めるのではなく、経験を通して子ども自身の選択肢が増えていく。
親子留学の「その先」を考えるとき、大学進学もその中の一つの大切な選択肢です。
まとめ
フィリピン親子留学をしたからといって、大学の帰国生入試に自動的に出願できるわけではありません。
大学によっては、海外の中学校・高校で2年以上学んでいることなど、明確な出願条件があります。
一方で、帰国生入試の資格がなくても、海外経験を高校生活の中で育て、総合型選抜などで自分の学びとして活かせる可能性があります。
大切なのは、「留学した」という事実だけではありません。
そこで何を感じたのか。
何を考えたのか。
帰国後に何を始めたのか。
そして、その経験を大学で何につなげたいのか。
親子留学を「大学入試のための材料」にするのではなく、子どもの世界を広げる経験として大切にする。
その先に、大学進学という選択肢が見えてくるのではないでしょうか。
大学進学を考えるとき、海外経験は必ずしも「帰国生入試の資格があるかどうか」だけで決まるものではありません。
総合型選抜などでは、海外で何を経験し、そこから何を考え、どのような学びにつなげてきたのかが意味を持つ場合もあります。
だからこそ、留学中の出来事をその場限りの経験にせず、その後の学びの中で自分なりに振り返っていくことが大切です。
こう考えると、親子留学やフィリピン留学の価値は、将来の大学入試で使えるかどうかだけでは測れません。
海外で日本とは違う環境を経験したことが、帰国後の子どもの視野や考え方を広げ、その先の学びや進路について「こんな道もある」と考えられるようになることにも価値があります。
海外経験が帰国後の子どもの中に何を残し、将来の選択肢にどうつながるのかを考えたい方は、
「親子留学の本当の価値は帰国後にある?|子どもの視野と選択肢が広がる理由」 も参考にしてください。
よくある質問
Q. 1か月のフィリピン親子留学でも帰国生入試を利用できますか?
大学によって異なりますが、短期の親子留学だけでは帰国生入試の出願資格を満たさないケースがあります。例えば上智大学や早稲田大学政治経済学部では、海外の中等教育機関で一定期間就学していることが条件になっています。必ず志望大学の募集要項を確認してください。
Q. 英語が得意なら大学入試で有利になりますか?
英語資格を評価する大学・入試はありますが、英語だけで合否が決まるわけではありません。面接、書類、論文、小論文などで考える力や表現力、大学で何を学びたいのかが問われる場合もあります。
Q. 短期の親子留学でも大学進学に意味がありますか?
あります。ただし「帰国生入試の資格」という意味ではなく、その後の興味や学習、活動につながる経験として考えることが大切です。
Q. 親は何を準備しておけばいいですか?
海外での在籍期間、学校名、学習内容、成績、修了証明、英語資格、活動内容などを整理しておくと、将来の進路選択に役立ちます。
「親子留学=帰国生入試で有利」にはしない。
上智大学は中・高等学校相当の海外就学について2年以上などの条件を設定しています。
早稲田大学政治経済学部も海外の中等教育機関で2年以上の就学を基本とし、2026年度は211人志願・48人合格で実質倍率4.4倍でした。
一方、早稲田は海外経験者の個性・経験・熱意などを評価する入試も設けており、ICUも海外経験、英語力、日本語での論理的思考や面接を組み合わせています。
つまり、短期親子留学の家庭にも「大学進学につながる可能性」はある。ただし、それは帰国生資格そのものではなく、その経験をその後の学びにつなげていくことが大切と考えます。
あわせて読みたい↓

外部公式リンク↓


お問い合わせ↓

